【稲川通信20】長岡甚句を歌う継之助
大正八年五月発行の「改輯・長岡市案内」(大正社)に
「旧長岡藩の英傑河井継之助は最も甚句に妙を得、美音妙曲の聴えあり。
未だ老職執頭たらざし時、町屋の大通(現今草間病院前・表町三丁目)に於て、
夏の宵、老若男女混合、甚句を謳歌し始めしに、継之助は大刀を背後に押遣り、
義経袴の股裁を取り、扇面を口に当て、音律華朗たる音聲を振り絞り、
音頭の役を勤めし例ありと云ふ」
とある。
その甚句の歌詞も「だいろうだいろう(百姓々々/※原文ママ)つぬ(籾)だせ(可納)だいろう、つぬをださぬと、代かんどん(代官殿)にことわるぞ(可訴)」というものであった。
だいろうはカタツムリのことで、つのは角であったから歌詞の意味からとらえるならば、継之助はどんな気持ちで歌っていたのだろうか。
(稲川明雄)